厳しい経営状況でも34年間にわたり据え置いてきた池田動物園（岡山市北区）の入園料が9月、値上げされる。コロナ禍の影響や、ウクライナ情勢や円安に伴うエサ代の高騰ばかりではない。夏場の酷暑が動物たち、ひいては園の経営を苦しめているという。
池田動物園の入園料は1988年以来、大人1100円、高校生880円、小中学生660円、3歳以上の幼児330円。9月からは420～70円の値上げで大人（高校生以上）1300円、小中学生800円、幼児400円となる。
池田動物園は約8万平方メートルの敷地に、ホワイトタイガーやアミメキリンなど約100種類、約450個体の生き物を飼育している。岡山駅からは約2キロ。家族連れなどに長年親しまれてきた。
経営難が続くなかでコロナ禍に追い打ちをかけられたが、市民によるサポートや企業の支援などが集まり、なんとか園の経営を存続させてきた。
値上げについて、動物園側はぎりぎりの上げ幅に抑えたと説明する。ただ、忠政智登士・副園長は「『値上げはしない』と頑張ってきたが限界を迎えた。動物園としてもショック」と話す。
値上げに踏み切らざるを得なかった理由の一つは飼料代だ。トウモロコシや牧草など、国内産だけではまかないきれず、多くを輸入に頼る。
しかし、今年初めに1ドル110円台だった為替相場は、7月には130円台後半に。輸入飼料の価格高騰につながった。
市内ではウサギやハムスターなどのペット用の牧草さえ品薄になる状態だという。大量のエサを必要とする動物園の経営を圧迫することになった。
そして酷暑。池田動物園は京山と呼ばれる小さな山の森の中に位置する。「山の動物園」と呼ばれ、平野部よりは比較的涼しい環境にあった。
それでも異常な高温の日が続くと、動物たちの元気がなくなっていく。氷を与える回数を増やしたり、扇風機を大型のものに買い替えて風通しをより良くしたり――。新たな飼育方法に変更する必要に迫られた。電気代も水道代もどんどん膨らんでいく。
忠政副園長は「ペンギンなどは毎日、水を大量に使い、涼しい状態で飼育する必要がある。獣舎にも大きな扇風機で風を送る必要がある」と強調。「山にある動物園だが、こんな異常な暑さでは限界がある。心苦しいが理解して欲しい」と話している。（神崎卓征）
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〈池田動物園〉 1953年、旧岡山藩主の池田家の子孫、故・池田隆政氏と、上皇さまの姉の厚子氏夫妻が「池田産業動物園」として創設。58年に株式会社として登記し、民間運営される。現在の園長は厚子氏。
エサが高い！暑すぎ！限界！ 池田動物園が34年ぶり入園料値上げ - 朝日新聞デジタル
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