来店者の車に給油するガソリンスタンドのスタッフ=24日、西之表市鴨女町
ビニールハウス4棟でシクラメンなどを育てる伊佐市菱刈の井之上崇さん(45)は、10月下旬から暖房機を使い始め、1カ月で重油3000リットルを消費した。「昨年は1リットル80円台だったが、現在は120円台で約1.5倍。花の価格に転嫁するわけにもいかない。寒さの本番はこれから。早く落ち着いてほしいのだが」と頭を抱える。
名瀬漁協に所属する奄美市の境喜美夫さん(62)は、約80キロ離れた十島村・宝島近海で漁をする。「34年漁師をしていて最も燃料代が高い。こんなに上がるとは」。高値が続けば、売り上げの大半が経費で消えるという。満林春男組合長(72)は、赤字を恐れて組合員の漁控えが進むのを懸念する。「仲買人の需要に応えられなくならないか心配だ」
南さつま市坊津で定置網漁を営む宮内一朗さん(65)は、漁の最中もエンジンの回転数を下げるなど燃料の節約に努める。水揚げした魚を港から鹿児島市内の卸売市場まで輸送する費用もかさみ、「魚価が新型コロナウイルス禍前の水準に戻らないのに、コストばかり上昇する」とこぼした。
タクシー事業者も同様だ。南国タクシー(鹿児島市)の林正秀相談役(67)は「昨年暮れに比べて燃料のガス価格が2~3割上昇した」と説明。「暖房を使う時期で難しいが、エンジンをこまめに切るようにしている」と対策に懸命だ。
旭交通(霧島市)は、車両ごとの燃費を一覧表にまとめ、事業所内で“見える化”。熊野広典総務部長(53)は「エコドライブで燃費の改善を促すしかない。国家備蓄分の石油放出で市況が好転すれば」と期待を込めた。
ガソリンだけじゃない 重油・ガスも高い 農漁業、運輸の経営直撃 | 鹿児島のニュース - 南日本新聞
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