こんにちは! 料理・食文化研究家の庭乃桃です。
皆さん、太平燕(タイピーエン)という料理を知っていますか? 熊本の名物で、ツルツル、シコシコの春雨をメインに、たっぷりの野菜、豚肉、魚介などを炒めて煮た具だくさんな一品です。さまざまな具材のうま味を吸った春雨入りのスープに、ゆで卵を揚げたものをのせるのが特徴で、中国福建省の郷土料理からヒントを得たメニューといわれています。
太平燕は、熊本では街の中華料理店などには必ずあるともいわれる定番料理。入れる具材も作り方も、実にさまざまです。そこで、そんな太平燕をフライパンひとつ、冷蔵庫のありもの食材で簡単に作る方法をご紹介します!
太平燕はその時々、冷蔵庫にあるもので作ることができるのが大きな魅力です。
豚肉は豚バラ肉のほか、ひき肉やこま切れ肉でもOK。魚介も、シーフードミックスはもちろん、ちくわや魚肉ソーセージでも大丈夫です。野菜類は、白菜やにんじん、椎茸のほか、キャベツやもやし、チンゲンサイ、キクラゲなどお好みのものをお使いください。メインの春雨も、具材を炒めたあとにフライパンで一緒に煮るので、とても手軽です。
太平燕の特徴であるものの、ちょっと作るのが大変そうな「揚げゆで卵」は、カリッと焼いた目玉焼きで代用してみます。縁をカリカリに揚げ焼きした目玉焼きはうま味のあるスープとからむと一層おいしくなりますよ。それでは、野菜たっぷり、具だくさんでもヘルシーな太平燕、一緒に作っていきましょう!
太平燕(タイピーエン)
材料(1人分)
- 緑豆春雨……35g
- 豚バラ肉……4枚(40g)
- シーフードミックス……60g
- 白菜……80g
- にんじん……20g
- 椎茸……1個
- 玉ねぎ……50g(1/4個)
- 長ねぎ……20g(15cm)
- しょうが……1かけ
- 卵……1個
- ごま油……大さじ1
- 酒……大さじ1/2
- 熱湯……春雨がつかる程度の量 ※春雨半戻し用
- 塩水……200ml(1カップの水に塩小さじ1が目安) ※シーフードミックス解凍用
【スープ】
- 水……300ml
- 鶏ガラスープの素(顆粒)……大さじ1
- 醤油……小さじ1
- 塩、胡椒……各少々
※野菜類は入れ過ぎるとスープの味が薄くなります。スープのベースとなる玉ねぎ、長ねぎ、しょうが以外の野菜は、合わせて120g程度にするのがおすすめです。
春雨の選び方
まず、メインとなる春雨について簡単にご説明します。
現在売られている春雨は主に2種類あり、左がよく見かける緑豆春雨、右がもう少し太めの国産春雨です。緑豆春雨は細めでシコシコとした食感、国産春雨の方がモチモチした食感です。お好みの方をご用意ください。
なお今回は春雨を別ゆでせずに、熱湯をまわしかけ、半戻ししてからスープに加えるレシピです。その場合、玉状にまとまっている緑豆春雨の方が扱いやすいため、そちらを使用しています。
作り方① 具材を準備する
1. スープのベースとなる香味野菜を切ります。太平燕は濃厚なスープが味の決め手になるため、家庭で作る場合は香味野菜を気持ち多めに入れると食べ応えが出て味がしまります。しょうがはみじん切りに、長ねぎは斜め薄切りにします。
2. 具材の野菜を切ります。
香味野菜と同様、スープのベースとして甘みを加える玉ねぎは薄切りに。あとの野菜も同様に薄切りやそぎ切りにしておくと均等に火が通ります。
(ちなみに今回は、にんじんは薄めの短冊切り。椎茸は石づきを切り落として薄切り。白菜の硬い軸の部分は小さめのそぎ切りに、葉はざく切りにしています)
3. スープにうま味をプラスしてくれる、豚バラ肉とシーフードミックスを準備します。
豚バラ肉は3cm幅程度に切ります。冷凍のシーフードミックスは、うま味を逃さずプリプリに仕上げるために、塩水に30分ほどつけて解凍。ペーパータオルなどで水気を拭き取り、酒をふりかけておきます。これで具材の準備ができました。
作り方② 目玉焼きを作る
具材を炒める前に、フライパンで目玉焼きを作っておきます。少し深さのあるフライパンにごま油を中火で熱し、卵を落として3分ほど焼きます。
縁の方がカリカリになったら、ふたをして黄身が好みの加減になるまで火を入れます。
目玉焼きは最後にトッピングするので、一度皿などに取り出しておきましょう。
作り方③ スープを作る
1. スープを作っていきます。フライパンに残ったごま油で、しょうがと長ねぎを炒めます。
香りがたったら、豚バラ肉を投入します。
2. 豚バラ肉に8割ほど火が通ったら、火の通りやすい薄切り椎茸以外の残りの野菜(白菜、玉ねぎ、にんじん)を加えます。
そして、全体を炒めて油をなじませます。
3. 野菜がしんなりしてきたら、椎茸、シーフードミックス(ふりかけた酒ごと)、【スープ】の材料をすべて加えます。
4. 白菜の軸の部分が透き通ってくるまで、中弱火(フライパンの表面がフツフツするくらいの火加減)で5~8分煮ます。
緑豆春雨の戻し方
さて、スープを煮ている間にメインの緑豆春雨を準備しましょう。本来は下ゆでが必要ですが、熱湯をまわしかけて「半戻し」して使います。
やり方は、とても簡単。
太平燕をよそう予定のどんぶりに緑豆春雨を入れ、熱湯をまわしかけます。そのまま1分ほど(国産春雨を使う場合は2~3分)置き、湯を切っておきます。
少し手間ですが、こうすると緑豆春雨が半戻し状態になり、うま味いっぱいのスープを芯までしっかりと吸って味が染み込みやすくなります。ついでにどんぶりも温められて太平燕も冷めにくくなるので、ぜひ試してみてくださいね。
作り方④ 太平燕を仕上げる
野菜が煮えたら、半戻しの緑豆春雨を入れてなじませます。
あとは、好みの硬さになるまで(緑豆春雨で1分ほど、国産春雨なら2~3分が目安)煮れば出来上がり。
先ほどの目玉焼きもトッピングしましょう。
香味野菜にごま油、実においしそうな匂いがしていますね。早速いただいてみます。
まずは、おいしいスープをたっぷり吸った緑豆春雨から。
ツルツル、シコシコした食感で食べ応えは十分! さまざまな具材のうま味が口の中に広がります。
豚バラ肉はジューシーで、魚介はプリプリ。野菜はそれぞれに甘みや味わいが異なり、さまざまな食感が一度に押し寄せてくる楽しさがあります。
縁をカリカリに揚げ焼きした目玉焼きも、一緒に食べるとスープにコクが加わります。黄身の部分もまろやかでおいしいです。
春雨なので、インスタントラーメンのような重たさがないのも太平燕のよいところ。夜食やお酒を飲んだあとの「シメ」にもピッタリかも!
まとめ
冷蔵庫にある食材を使って、フライパンひとつでできる手軽な太平燕。
具材のうま味をたっぷり吸い込んだツルツルの緑豆春雨がとにかくおいしくて、思わず箸がすすみます。絶妙な軽さと満足感が両立しているお料理ですね。
そのままでもおいしい太平燕ですが、手近な調味料をちょこっと足して味変もおすすめ。パンチのあるおろしにんにくや七味唐辛子、柚子胡椒、豆板醤などがよく合います。ぜひ試してみてくださいね!
書いた人:庭乃桃
料理・食文化研究家、女子栄養大学 食生活指導士。「おいしい」を取り巻くさまざまな食卓の風景に目を向けながら、企業向けレシピの開発や、執筆、講演など多方面で活動中。著書『おいしく世界史』(柏書房、2017年)。
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