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サマリー：心理的安全性とは、人々が害を恐れずに、意見や失敗を共有できる環境を指す。多くのデータによれば、心理的安全性が高いほど、創造性と学習、探索のレベルが高まるとされる。しかし、心理的安全性は高ければ高いほど... もっと見る好ましいとは限らないようだ。筆者らが行った研究により、適切な心理的安全性の高さは、職種によって異なることがわかった。本稿では、職種ごとの心理的安全性の適切な状態を探るための研究とともに、そこから得られた4つの教訓を紹介する。 閉じる
業務ごとに適切な心理的安全性の程度を見極める
「心理的安全性」という考え方は、1950年代にはじめて形づくられたもので、近年、特にハーバード・ビジネス・スクール（HBS）教授のエイミー C. エドモンドソンにより、重要かつ慎重な方法によって発展を遂げてきた。
この考え方によれば、心理的安全性のある環境とは、人々が対人関係で害を被る心配をせずに済む状況のことを指す。具体的には、主張したり、失敗したり、リスクを伴う行動を取ったり、助けを求めたりしても、嘲笑されたり、個人的に攻撃されたりすることがないと安心できる場でなくてはならない。そして、多くのデータによれば、心理的安全性が高い環境ほど、創造性と学習、探索のレベルが高まるとされる。
しかし、心理的安全性は常に好ましい影響をもたらすのだろうか。
一つには、標準化された業務を繰り返し行うことが求められる職種に関する問題がある。その種の職では、働き手はルールに従って行動することが求められる。リスクのある行動は避けなくてはならない。ミスが許されない職場では、とりわけこの点が重要だ。
たとえば、病院の看護師に、医療の質を改善する方法を提案させたい場合は、心理的安全性が極めて重要になる。新しいアイデアを提案しようと思えば、どうしてもリスクがついて回るからだ。しかし、看護師が病床の日々の業務で患者の世話をする際は、イノベーション精神を発揮してリスクのある行動を取ることは避けてほしい。リスクを避けなくてはならない環境における心理的安全性の影響をテーマにした研究はあまり多くなく、そうした研究の結果も一様ではない。
もう一つ問題なのは、どの程度の心理的安全性が好ましいのかという点だ。この点については、これまで研究がなされてこなかった。そこで、筆者らは、テルアビブ大学のマイケル・ホダーとともに、この点を明らかにするための研究を行った。
これ以前の研究は、心理的安全性がもたらす影響の平均な効果にしか目を向けていなかった。平均という概念の性格上、平均値の背後には、極めて高いスコアと極めて低いスコアの両方が存在している可能性がある。しかし、平均だけを見ていると、心理的安全性が極めて好ましい影響をもたらす一部のケースが存在するために、害をもたらすケースがあったとしても覆い隠されてしまうおそれがあるのだ。
筆者らは、いくつかの異なる職種を対象に研究を行い、典型的な職における心理的安全性とはどのようなものなのか、そしてどの程度の心理的安全性が好ましいのかを明らかにしようとした。調べたのは、小売り、看護、金融、ソフトウェア、製薬、スタートアップ企業の現場レベルの労働者たちだ。
心理的安全性は高いほど好ましいとは限らない 研究から見えてきた4つの教訓 | 組織文化/組織開発｜DIAMOND ... - DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー
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