財務省が4日発表した法人企業統計(速報値)によると、2023年10-12月期の全産業(金融・保険を除く)の設備投資は06年の同四半期以来、17年ぶりの高い伸びとなった。速報段階で2四半期連続マイナス成長だった実質国内総生産(GDP)は、改定値でプラスに転換する可能性があるとの見方が出ている。
設備投資は前年同期比16.4%増の14兆4823億円と、市場予想(2.8%増)を大幅に上回った。増加は11四半期連続。製造業では、生産体制の強化で情報通信機械と輸送用機械が増加。非製造業では、ネットワーク関連設備の増強した情報通品業や、新型輸送用機材を導入した運輸・郵便業が伸びた。
11日発表の国内総生産(GDP)改定値に反映されるソフトウエア除くベースは11.7%増と市場予想(1.5%増)を上回った。
物価高による個人消費や設備投資の低迷を主因に10-12月期の実質GDPは 速報段階で前期比年率0.4%減だった。今回調査で示された設備投資の大幅伸びは日本経済の支えとなり、GDP改定値を押し上げる効果が見込まれる。海外経済減速など先行き不透明感がくすぶる中、企業の高い設備投資意欲の持続性が引き続き焦点となる。
大和総研の岸川和馬エコノミストは、「企業はキャッシュフローを積み上げてきたが、ようやく投資に回り始めた」と指摘。法人企業統計で大幅に増加してもGDPでは小さな修正にとどまることが多いが、今回の内容はコンセンサス対比でも相当上振れており、GDP改定値の「プラス転換はある」との見方を示した。

金融政策の正常化のタイミングをうかがう日本銀行にとっても、設備投資の大幅な伸びはプラスの材料だ。植田和男総裁は1日、速報段階で2期連続マイナス成長となった日本経済について、コロナ禍からの「かなり強い成長を続けた後の踊り場」との認識を示した上で、「景気は緩やかに回復しており、先行きもその姿を続けるという見方にこれまでのところ変化はない」と説明している。
物価目標実現「見通せる状況に至らず」、春闘がポイント-日銀総裁
SOMPOインスティチュート・プラスの小池理人主任研究員は、GDPの改定値でプラス転換となれば「数字の見栄え上の印象は変わってくる。今回の結果は金融政策正常化に向けた一つの大きい材料になり得る」と語った。
企業収益は良好
10-12月期の経常利益は前年同期比13.0%増と4四半期連続のプラスとなった。市場予想では21.3%増が見込まれていた。春闘の交渉が進む中、収益の動向は持続的な賃上げを見定める重要な指標として注目される。
ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査部長は、企業利益は高水準を維持していると指摘。これは賃金を上げる余地が企業にはあり、春闘で堅調な結果が期待できることを示していると語った。
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設備投資は17年ぶり高い伸び、GDP改定はプラス転換との見方も - Bloomberg - ブルームバーグ
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