世界の商業用不動産で賃料が最も高い地域の一つである香港で、超高層オフィスビルの空室率がかつてない高水準となっている。
富豪の李嘉誠氏が所有する超高層ビル、チョンコン・センターの空室率は約25%であり、その近くに現在建設中の李氏の別のオフィスビルではテナントがまだ一つしか決まっていない。同じく香港の不動産王と称される李兆基氏が近くに建設中の「ザ・ヘンダーソン」で賃貸契約が成立したのは30%だ。賃料と販売価格は共に急落している。
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国際金融中心(香港)
Photographer: Xaume Olleros
在宅勤務の広がりに伴い、ニューヨークやシドニーなど世界各地の商業用不動産市場は苦境に陥っているが、香港の不動産業界の不振の要因は異なる。このため、かつては香港の不動産王だけでなく世界中の投資家から求められていた同市場の低迷は長引く恐れがある。
香港に拠点を構えている米欧の銀行はディールメーキングの減少や香港に対する中国の締め付け強化を受け、オフィススペースを縮小している。また中国企業も国内経済の不調により、予想されたほどオフィススペースを拡大していない。さらに香港ではオフィスビルの建設が相次いでいる。
CBREグループのエディー・クォック氏は「この市場は厳しい状況だ」とし、「値下がりのペースは緩やかかもしれないが、回復は難しい」と説明した。
新型コロナウイルス関連の制限措置や香港国家安全維持法の施行を乗り越え、香港の小売売上高は上向き、外食産業は活況を呈している。
しかし香港ではなお過去最大の1300万平方フィート(約121万平方メートル)のオフィススペースが空室となっている。コリアーズ・インターナショナル・グループのデータによると、A級と分類される高級オフィススペースの4月の空室率は約15%と、2019年の3倍強となっている。マンハッタンのA級物件の空室率は12.5%、シンガポールは4.6%。
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香港は地下鉄網が整備されているほか、住居が狭いため、市民は在宅勤務をそれほど望んでおらず、オフィス復帰が進んでいる。このため、ニューヨークやロンドンと異なり、オフィススペースの空室率上昇の主要因は在宅勤務ではなく、オフィススペースの約30%を占めているウォール街の銀行が米中の緊張の高まりなどを受けて事業拡大計画を縮小しているためだ。
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原題: Hong Kong Tycoons’ Skyscraper Vacancies Signal Deep Market Shift (1)(抜粋)
不動産王、李嘉誠氏の高層ビルでも高い空室率-香港市場のシフト鮮明 - ブルームバーグ
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