日本マクドナルドは価格設定上の「都心店」を拡大して、店舗を絞り込んだ値上げに踏み出した。人件費や店舗賃料などを考慮してきめ細かく収益を確保する戦略だ。通常の店舗と比べて、セットメニューで最大90円、ビッグマックで最大50円高くなるが、客の意識調査では「許容範囲」という結果が示された。
同じマクドナルドで価格が3通りあることも
日本マクドナルドは7月19日、三大都市圏の都心部を中心に184店で商品を最大90円高くする値上げに踏み切った。標準の価格で提供する「通常店」より高価格で売る「都心店」を増やしたほか、両者の中間的な位置づけの「準都心店」を新たに設定した。人件費や賃料の高騰など、店舗ごとの事情をきめ細かく洗い出してコストを反映し、収益性を改善する狙いだ。
同社はこれまでも、都心店のほか、空港や高速道路のサービスエリアなどにある「特殊立地店」で高い価格設定をしていた。今回は、従来30店だった都心店を90店以上に増やし、準都心店を約120店新設した。特殊立地店は従来通り13店のままなので、これら3種類を合わせると合計約230店となる。全国約3000店のうちの約8%が「通常店より高価格の店」となる計算だ。
例えば、主力商品の1つ、ビッグマックの場合、通常店は450円(税込み、以下同)だが、準都心店は470円、都心店は500円となる。価格差が最も大きいのは「炙り(あぶり)醤油(しょうゆ)風ダブル肉厚ビーフセット」などで、差額が90円となった。
「通常店」でビッグマックは450円のままだが
日本マクドナルドは原材料高や人件費の上昇、円安を受けて、2022年以降値上げを進めてきた。同年3月と9月に値上げしたのに続き、23年1月には全体の約8割の商品を値上げしている。今回は全店一律でなく店舗を絞って再値上げしたのが特徴で、同社はその理由を「賃料・人件費等の上昇を機に、特に運営コストの負担が大きい店舗を価格改定の対象にした」と説明する。
とはいえ、徒歩数分の圏内で隣接する都心店、準都心店、通常店もある。都心店の客の不満が高まったり、高価格の店から通常店へと客が流れたりするなど、チェーン内で混乱は生じないのか。値決めのコンサルティングサービスを手掛けるプライシングスタジオ(東京・港)に、マクドナルドの値上げに対する客の反応を分析してもらった。
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50円高いビッグマックは許容 マクドナルド「都心型価格」の勝算 - 日経ビジネスオンライン
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