雨が降るジャイアンツ球場の室内練習場の階段に腰掛け、巨人の赤星優志投手（２４）は言った。「毎回最後だというつもりで投げてます」。２年連続で開幕ローテ入りを果たすも、今季はここまで６登板で０勝４敗、防御率は６・１４と思うような結果は出ず。力感の少ないフォームから淡々と制球よく投げ込むのが投球スタイルだが、「僕は特徴がない選手なんです。自分のスタイルを見つけなければいけない」。優しげな顔つきに似合わない、力強い言葉だった。
記者は赤星の入団とともに巨人担当になり、初勝利原稿も書かせてもらった。いつもポーカーフェースの右腕の印象深い試合がある。５月１４日の広島戦（東京Ｄ）。自己最多の１２７球の力投も、７回２死満塁からマクブルームに満塁本塁打を浴びて３敗目を喫した。ベンチに戻ると思わずタオルを頭からかぶり、しばらく動けず。ここまで右腕が悔しさを表す姿は初めて見た。試合終了後には一人残ってベンチから相手チームの選手たちをじっと見つめる姿が、テレビ中継に映されていた。
実は「優志」の名前の通り、優しく思いやりのある行動だった。後日Ｇ球場で練習をする赤星にあの時の思いを聞いた。「もちろん悔しさもありました。もう二度と繰り返さないようにしないと。でもあの時、死球を当ててしまったので謝りたくて。こっちを向いてくださらないかなと思って見ていました」。２回先頭でデビッドソンに死球を与えたことを謝罪したかった。どんな時でもスポーツマンシップを大事にする右腕に心を打たれた。
ファーム合流後は、右肩のコンディション不良により一時、ペースダウンとなったが、フォームを改良したりと試行錯誤中。心優しいが、野球への思いは人一倍強い。優しくもあり、高い志をもった赤星の後半戦の活躍を、陰ながら応援している。（巨人投手担当・水上 智恵）
【巨人】赤星優志「優」しさと高い「志」で巻き返す…担当記者コラム - スポーツ報知
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