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Wednesday, March 20, 2024

血糖値が高いと“スカスカくねくね血管”が大量発生!糖尿病合併症が物語る「ゴースト血管化」の怖さ - ダイヤモンド・オンライン

血管の老化を防ぐ! 血管強化術#3Photo:PIXTA

毛細血管が老化によって消失していく「ゴースト血管化」が生じると、末梢組織の血流が滞り、さまざまな不具合が生じる。このゴースト血管化は加齢で進行するだけでなく、高血糖などによって加速する。特集『血管の老化を防ぐ! 血管強化術』(全8回)は、前半の4回で血管老化と病気の関係について、後半の4回で抗血管老化策について取り上げる。#3では、高血糖や糖尿病、糖尿病合併症と血管老化の関係に迫る。(医学ライター 井手ゆきえ)

血糖が高いと山ほど生まれる
スカスカくねくねの毛細血管

 高血糖と糖尿病は、それぞれ単独で「ゴースト血管化」と「大血管病」の大きなリスクだ。高血圧、脂質異常症よりはるかにリスキーだといっていい。

 大血管病は、日本人の死因の第2位である心疾患や第4位である脳血管疾患のこと。そしてゴースト血管化とは、毛細血管が老化によって消失していくことだ(下図参照。さらに詳細は本特集#1『認知症にもつながる!?毛細血管が消える「ゴースト血管化」の恐怖』参照)。

 ゴースト血管化が生じると、末梢組織の血流が滞り、さまざまな不具合が生じる。ではなぜ、高血糖がゴースト血管化につながるのか。

 食事として摂取した糖質は消化酵素によってブドウ糖と果糖に分解された後、小腸から毛細血管を経由して血液中に取り込まれていく。

 血液中に取り込まれたブドウ糖の総称が「血糖」で、血液中のブドウ糖(グルコース)濃度を測定した値が「血糖値」だ。

 健康な成人の空腹時血糖量は、血液量100ミリリットル当たり、0.1グラム。人の血液総量は体重の13分の1ほどなので、体重が70キログラムの成人なら血液総量5.4リットル中の空腹時グルコース量はおよそ5グラム。せいぜい小さじ1杯強だ。

 もちろん食事の直後には血糖濃度が上昇するが、食後2時間もすれば、空腹時の濃度に戻る。高血糖が続く人は、何らかの原因で血糖を下げる仕組みがうまく働いていない。

 本来、消費し切れなかったブドウ糖は形を変えて貯蔵庫(生体では肝臓)に蓄えられるが、貯蔵庫に収まり切らなかった余分なブドウ糖は、そのまま血中を運ばれるうちに、タンパク質や脂質と結び付く「糖化」という現象を起こす。

 糖化で変性したタンパク質や脂質は「AGEs」と総称され、これがまた血管に悪い。

 血管内皮細胞の表面には、もともとAGEsと反応する受け皿があるのだが、そこにAGEsがくっついた途端に血管内皮細胞が狂ったように増殖を始め、未熟な毛細血管を山ほど作り出してしまうのだ。

 急ごしらえの毛細血管はスカスカでもやもやと曲がりくねり、使用には耐えられない。しかも、AGEsに取り付かれた血管内皮細胞からは血管を保全する機能が失われているので、作ったそばから血管がつぶれ、周辺組織が低酸素状態の不毛地帯と化してしまう。つまり、毛細血管のゴースト化が生じているわけだ。

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