神奈川県が実施した新型コロナウイルスのウェブアンケートを本紙が独自に分析したところ、感染歴のある人のうち、年代が若く、ワクチン接種回数が少ないほど、後遺症に悩む割合が高い傾向を示した。後遺症は長期間に及ぶことがあるため、県は新型コロナ対応を簡素化する4月以降もホームページで外来医療機関の公表を続ける。(志村彰太)
本紙は、県が昨年10月にLINE公式アカウント「新型コロナ対策パーソナルサポート」で実施した後遺症の県民アンケートについて、集計前データを情報公開請求。開示資料のうち、感染歴があると答えた9604人を分析対象とした。
ワクチン接種回数を分類できた9437人のうち、後遺症に「悩んでいる」「悩んでいた」と回答したのは4238人。年代別に見ると、10歳未満~20代は接種「0回」から「2回」までの6割超が後遺症に悩んでいたのに対し、「4回」は44%、「5回」は14%で、回数が多いほど後遺症に悩む割合が低かった。他の年代も傾向は変わらず、30~40代は「0回」が63%で「6回」は49%、50~60代は「0回」が61%で「6回」が40%、70代以上は「0回」が37%で「6回」が29%だった。
厚生労働省によると、ワクチン接種が後遺症の発症を減らす可能性は指摘されているが、見解は確立されておらず、「さらなる検討が必要」という。
後遺症の具体的な症状は、年代別に大きな違いはなかった。一方、感染時の症状をそのまま引きずる傾向があり、中でも記憶障害や抑うつ、息切れ、脱毛で顕著だった。
今回の分析では、年代が高いほど後遺症に悩む割合が低く、その傾向はワクチン接種回数の多さよりも強く出た。川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長は「後遺症は、免疫学的、病理学的な要因に加え、個人を取り巻く環境や日常生活の様子、精神状態の影響もある」と指摘。若いほど微妙な体調の変化に気付き、悩みがちという可能性もあるという見方を示した。
このウェブアンケートは、未感染者を含む1万8260人が回答。県は昨年末、単純集計結果を発表したが、複数の質問項目を重ねて分析する「クロス集計」はほぼ未実施だった。回答者は7割が女性、半数が40~50代と偏りがあり、後遺症の割合や傾向は実態を正確に反映していない可能性がある。
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