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Sunday, March 31, 2024

ガソリン価格が日本一高い長野県 安売り競争仕掛けた業者は撤退、販売量少なくコスト高 - 産経ニュース

長野県のガソリン価格が、昨年春からほぼ日本一高い状況で推移している。なぜ他の都道府県より高いのか。内陸に位置する長野県だけに、「製油所から遠いから」という都市伝説のような話があるが、過去には安売り販売店も存在したようだ。疑問を解き明かすべく取材した。

全国平均より約10円高い

資源エネルギー庁が毎週1回発表している都道府県別ガソリン小売価格(1リットル当たり)によると、昨年12月4日から今年3月18日までの15週のうち、長野のレギュラーガソリン価格が「日本一」になったのは13週。残る2週はいずれも長崎に次いで2位だった。この間、長野は全国平均に比べ9・1~10・3円高く、184・0~185・6円だった。

長野が堂々の1位に躍り出たのは昨年4月から。4月3日から9月3日までの22週のうち19週で1位になった。それまでトップだった長崎も高い水準で推移しており、長野が追いつき、追い越してしまった形だ。

卸価格は隣県並み

エネ庁は卸価格(1リットル当たり)についても毎月1回、都道府県別に発表している。卸価格にはガソリンスタンド(サービスステーション、SS)までの輸送コストも含まれるため「製油所から遠い」という要因が反映される。

昨年4月以降の上位には離島の多い長崎、鹿児島があり、長野は群馬や石川などとの3位グループ。全国平均との価格差は、群馬がプラス1・3~2・0円、長野は同じく1・1~2・2円、石川が同じく1・5~1・8円だ。

とはいえ、2円程度の卸価格差が10円前後の小売価格差に直結するとは考えにくい。実際、群馬の小売価格は、全国平均との差がマイナス1・2~プラス3・3円で、卸価格差程度の範囲で推移していた。対して長野はプラス3・1~10・7円で、平均8・6円高く、群馬との差は明らかだ。

安売り店には追従せず

どうやって小売価格を決めているのか、長野県内でSSを複数経営している石油製品販売会社の役員に率直に尋ねた。すると「そのSSで販売できる見込み量とコストを計算した上で、周囲のSSの価格を見比べながら決めている」とのこと。

しかし、安売り店が出てきたら値下げ競争になるのかというと、そうでもない。「過去に安売り店が出店したとき、競争できない価格だったので追従しなかった。そのうち、安売り店の方がつぶれてしまった」という。ただ「ガソリンを赤字覚悟の価格で客集めに使い、併設する食品販売で利益を生み出す大型スーパーが県内に出店したら…」と戦々恐々としていた。

都道府県別販売実績(石油連盟、令和5年速報値)と、都道府県別給油所数(エネ庁、4年度末登録ベース)から、SS1店舗当たりの年間ガソリン販売量を算出すると、全国平均が3544・9キロリットルなのに対し、長野は1162・5キロリットルで30位。21位だった群馬は1480・6キロリットルで、長野より27%多かった。その分、群馬の方が価格競争を仕掛ける体力があるといえる。

販売量が少なくても、SS設備の維持管理コストが減るわけではない。貯蔵タンクは埋設年数に応じ、内面ライニング工事や電気防食工事、精密油面計設置など老朽化対策工事も必要になり、これに1500万円前後の費用がかかる。「国の補助金があっても持ち出しはある。工事が必要になるタイミングで廃業したSSは多い」と、この役員は明かす。

ガソリンスタンド過疎地

エネ庁の調べによると長野県には4年度末現在、SSが3カ所以下の「SS過疎地」が77市町村のうち45・5%にあたる35町村あり、全国で2番目に高い割合だった。

いずれも小規模のSSながら、冬の長野に不可欠な灯油を地域の各家庭に届けるライフラインの役割を担っている。灯油の配達費用もSSの経営コストに反映される。一方で、ガソリン需要が増えることは期待できず、販売量を増やしてガソリン価格を下げることは不可能だ。

長野県産業政策課は「県内には経営コストを回収しにくい中山間地のSSが多く、それが小売価格に反映されているとみている。しかし市場原理にまかせてSSが淘汰(とうた)されていいとは思っていない。災害時に燃料供給の拠点となるSSが失われないよう支援していきたい」と話している。

取材結果を総合すると、長野県のガソリンが高いのは「販売量が見込めないSSを維持するため」ということになりそうだ。(石毛紀行)

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