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Thursday, July 11, 2024

なぜ日本企業の管理職は「死亡率」が高いのか…欧米ではありえない「罰ゲーム化した管理職」のヤバすぎる実態 - 現代ビジネス

今、日本で管理職として働くことは、もはや「罰ゲーム」に近い状況になっています。「朝から晩まで会議ばかりで、夜からしか自分の仕事ができない」「メンタルヘルスの不調で、常に部下が欠けている状態で働いている」「ハラスメントと言われるのが怖くて、部下を叱るのが怖くなった」「若手社員がみな指示待ちの姿勢で、主体的に動いてくれない」。

このような課題が、「バグ」のように次から次へと発生し、管理職に降り掛かり続けています。その影響は深刻で、『罰ゲーム化する管理職 バグだらけの職場の修正法』(集英社インターナショナル)よれば、管理職の死亡率の増加という形で顕在化しています。

管理職の死亡率の逆転現象

2019年、英国の疫学・公衆衛生専門誌「Journal of Epidemiology and Community Health」に、衝撃的な研究が発表されました。その内容は、「日本では一般職よりも管理職のほうが死亡率が高い」というものです。

この研究は、日本・韓国・欧州8ヵ国(フィンランド、デンマーク、イングランド/ウェールズ、フランス、スイス、イタリア、エストニア、リトアニア)の過去25年間の変化について国際共同研究をしたものです。日本からは東京大学の研究者が参加しています。

この研究では、欧米では一般的に管理職や専門職の死亡率がその他の職種よりも低いのに対し、日本においては1990年代後半に管理職男性の死亡率が上昇したことが報告されています(図表1)。

図表1 管理職とその他の職業の年齢調整死亡率の経年変化 (男性30 ~ 59歳、全死因、1980 ~ 2010年)

普通に考えれば、管理職のほうが、健康に割けるリソースが多くなりそうです。経済的な余裕があるほど、ジムに行ったり健康的な食事を摂ることができそうですし、社会的地位が高いほうが、健康への意識も高くなりそうです。

しかし、日本は死亡率という点でその関係が逆であることが示されたのです。男性の管理職の死亡率は1980年代から1990年代中頃にかけては他の職種に比べて低い状況でしたが、1990年代後半を境に死亡率が大きく上昇し、他の職種と傾向が逆転したということが報告されています。経済的な不況とともに、管理職の死亡率が逆転してしまったのです。

特にそこで増えた死因が「自殺」だと言われています。2020年の日本の自殺者数は2万1081人で、先進国の中でもいまだにトップクラスです。また、バブル後の自殺者急増は「経済・生活問題」を抱えた中高年男性によるものが大きいことがわかっています。経済的不況とともに働き盛りの管理職の自殺が増えてしまったのです。

せっかく管理職に昇進したにもかかわらず、寿命を縮めてしまうのであれば、「罰ゲーム化」という現象は「苦労するね」「大変だね」程度で済まされるものではなくなります。この因果関係の細かな解明は、今後も強く求められるものです。

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