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Tuesday, July 19, 2022

高い精米技術 食卓に革新 - 読売新聞オンライン

 高い精米技術で研ぎ洗いが不要な「BG無洗米」や米の栄養を引き出した「 金芽米きんめまい 」など、画期的な商品を世に送り出してきた。環境保全や健康増進といった課題を先取りし、米穀業界や家庭の食卓に大きな影響を与え続けている。

 会社の前身は、雜賀慶二社長(88)の父が経営していた精米機販売・修理業。15歳から家業を手伝い事業を軌道に乗せた雜賀社長は、26歳の時に大きな転機を迎える。

 当時、収穫した米に交じる小さな石などは手作業で取り除かれており、除去しきれずに人の口に入ってしまうこともあった。これを改善しようと機械メーカーに石抜き機の開発をもちかけたが、メーカー側は「今の技術では無理」とつれない。「それなら自分でやるしかない」。一念発起して機械を作ったところ、全国から注文が相次いだ。法人化し、1960年代には全自動精米機などを次々に発明した。

 同社を一躍有名にしたのは、肌ぬかをあらかじめ工場で取り除いた「無洗米」だ。開発のきっかけは76年、雜賀社長が淡路島に旅行した際に目にした赤潮だった。紀淡海峡を船で通ると、海面が赤く汚染されている。衝撃を受けて調べたところ、米の研ぎ汁などに含まれる窒素やリンが生活排水として海に流れ、プランクトンの餌になっているとわかった。

 「子どもや孫の代になると、海はどこまで汚染されるのか」。危機感を覚え、無洗米の開発を決意した。目をつけたのは、筒の中で米を 攪拌かくはん すると、粘着力のある肌ぬかがステンレス壁にくっつくことだった。回転速度などを試行錯誤し、構想から15年後の91年、機械で肌ぬかを落とした「BG無洗米」を売り出した。

 世間の反応は「米は研ぐもの」「無洗米は手抜き」と冷ややかだったが、米穀業界は画期的な発明に驚き、次々に追随。環境や時短家事への関心が高まるにつれ、消費者にも受け入れられていった。機械のリースも行い、98年まで10万トン以下だったBG無洗米の年間生産量は2005年以降は40万トン以上に増えたという。

 次に取り組んだのが、無洗米で、かつ栄養価の高い米だった。精米のときに、金芽(胚芽の基底部)と白米を覆う「 亜糊粉層あこふんそう 」と呼ばれる層を残し、うま味と栄養を併せ持つ「金芽米」として05年に発表。モニター調査で、食べ始めてから3か月経過した人の75%が「体調に改善あり」と答えた。

 15年にはさらに米の栄養を引き出した「金芽ロウカット玄米」を販売。玄米の中で、4年連続で売り上げ1位を記録している。

 無洗米の発想に加え、製造する際に取り除いた肌ぬかを肥料や飼料に活用する取り組みは、国連の「SDGs(持続可能な開発目標)」を先取りするものとして、国内外から改めて注目されている。

 雜賀社長はこう強調する。「社会を見渡すと、食からのアプローチで解決すべき課題が多く残っている。開発したいことが、まだたくさんあるのです」。日本人の主食である米の可能性を、これからも探り続ける。(岡田英也)

<企業MEMO>

 1961年に「株式会社東洋精米機製作所」を和歌山市に設立。81年本社新社屋(和歌山市)が完成。2013年に社名を東洋ライス株式会社に変更した。従業員は200人で、東京都中央区にも本社がある。大阪府や埼玉県など4か所に直営工場を構える。

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