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Wednesday, June 28, 2023

ヘッジファンドの悪名高い取引債券強気派にスティープ化警戒促す - ブルームバーグ

高いレバレッジを効かせた人気の米国債取引に殺到するトレーダーに、イールドカーブの急変に警戒するよう世界中の投資家が警鐘を鳴らしている。

  過去最長かつ最も大幅な部類の逆イールドが突然反転すれば、過去にも市場を揺るがせた前科のあるこの取引は大打撃を被る。

  長期債利回りが上昇するか短期債利回りが急低下すれば、逆転していた利回り曲線は順イールドに向かう。そうなればトレーダーはあわてて、いわゆるベーシス取引を解消しようとするかもしれない。

  現物債と先物の価格差からの利益を狙うこの戦略は今年人気が高まっているが、2020年の新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)最悪期には華々しく自滅した経緯がある。

  ジュピター・アセット・マネジメントのマネーマネジャー、ジェームズ・ノボトニー氏(ロンドン在勤)はベーシス取引について「道路舗装用ローラーの前に落ちている1ペンス硬貨を拾うような」危険なものだと言う。

  「ボラティリティーが低いか低下しつつある時にはうまくいくが、米金利のプライシングの極端さを踏まえるとボラティリティーが高まる可能性があるのは明らかで、これが問題を引き起こすことは確実だ」と話す。

  最近の米国債市場で見られるポジショニングは、レバレッジを活用するトレーダーがベーシス取引を膨らませ続けてきたことを示唆している。

  一つには、金利エクスポージャーをヘッジするために逆のポジションを積み上げた資産運用会社が、積極的に取引相手方になっていることがこの取引を簡単に成立させている。

  JPモルガン・チェースの米国債顧客調査によると、資産運用会社のロングポジションはネットベースで10年以降最大になっている。

Asset Managers, Hedge Funds at Odds in Treasury Futures

  長短利回りの逆転幅が100ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に達する中で、ボラティリティー低下を好機とみてベーシス取引を復活させたトレーダーにとってのリスクが高まる中で、ポジションが極端になった。

  この取引を行うヘッジファンドは、レポ市場で巨額を借り入れレバレッジを使って先物と現物債の価格差から利益を得ようとする。

  20年3月にパンデミックが引き金となり米国債先物に買いが殺到した時にはこの取引が逆噴射し、米連邦準備制度理事会(FRB)による 5兆ドル超の規模の介入につながった。

日本国債

  このような取引は米国債だけに限ったものではない。日本国債の一角も昨年6月、日本銀行が債券購入計画を微調整した際に 圧力にさらされた。この時は先物と現物債のスプレッドが約10年ぶりの水準に拡大した。

  投資家は今、ベーシス取引を崩壊させ得る次の引き金に目を光らせている。急激で地殻変動的な米金利見通しの変化がイールドカーブを激変させることだ。

Relentless Shorting | Leveraged funds boost bearish two-year Treasuries futures bets

  ピクテ・アセット・マネジメントの世界債券責任者、アンドレス・サンチェス・バルカザール氏は「利下げ回数が多く織り込まれ過ぎているとの見方から、特にヘッジファンドが米国債先物を売っている」と指摘。投資家はこの取引が失敗した時の「流動性スクイーズ」を心配していると語った。

  パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言を受けて先週、長短金利逆転幅が 1ポイントを超えた後、米国債のカーブは順イールドに向かうのではないかとの観測が強まっている。

  パウエル議長は追加利上げの必要性を強調したものの、ボスティック・アトランタ連銀総裁らはインフレを2%の目標まで押し下げるための利上げは もう十分だと考えている。

  パウエル議長の発言は利下げ期待に水を差すのに一定の効果があったものの、米商品先物取引委員会(CFTC)のデータは ヘッジファンドが近い将来の政策転換を完全にあきらめたわけではないことを示した。

  ファイブスター投信投資顧問の下村英生シニア・ポートフォリオ・マネジャーは、米金利見通しの大幅な調整がボラティリティーを上昇させベーシス取引を転覆させることは確かにあり得るとし、長期の利回りが上昇して逆イールドが調整に向かえばベーシス取引のポジションが清算される可能性があると説明した。

爆発的動き

  米国債市場が混乱しそうだとの見通しは、米国以外にも不安を呼び起こしている。

  ティー・ロウ・プライス・グループの香港在勤マネーマネジャー、レオナード・クワン氏は、ベーシス取引を含め、集中したポジショニングは「いずれかの方向への爆発的な動きのためのモメンタムというかエネルギーを蓄積させる」とし、「ベーシス取引が崩壊するか、どちらかに大きく動けばそれは通常、調達スクイーズが起こるシグナルだ」と指摘した。

  懸念は行き過ぎだという声もある。

  アバディーンは債券市場のボラティリティーがパンデミック前の数年に比べかなり高いとし、ベーシス取引を揺るがせるほどの変動を引き起こすには大きな衝撃が必要になるとみている。

  インターコンチネンタル取引所とバンク・オブ・アメリカ(BofA)の指標によれば、米国債のボラティリティーは最近数カ月に低下したが依然として20年初めに比べると2倍近い。

  アバディーンの金利管理担当投資ディレクター、ジェームズ・アシー氏は、ベーシス取引が「一斉に崩壊したり巻き戻されたりするリスクは20年3月に比べると幾分低い」とし、「金利ボラティリティーは既に高く、比較的安定した時期にパンデミックが襲った20年序盤とは異なる」と分析した。

量的引き締め

  金利を巡る臆測以外で、金融当局の量的引き締め(QT)もベーシス取引復活の理由かもしれないとシティグループが指摘する。システム内の流動性の低下に伴い資産運用会社がデュレーションのエクスポージャーに関する取引で現物債より先物を活用するようになり、価格差から利益を得る機会をヘッジファンドに提供しているという。 

  CFTCのデータによれば、ヘッジファンドなどレバレッジを活用するファンドの先物ポジションはネットショートが過去最大付近となり、同時に資産運用会社のポジションはほぼ完全にその逆になっている。

  マネーマネジャーが米連邦公開市場委員会(FOMC)による次の動きを待つ中で、一部の運用者はベーシス取引が失敗した場合の影響について考えている。

  ベーシス取引の不首尾で、こうした取引が「意図せずに不必要なボラティリティー」を米国債市場にもたらす可能性があると、アジア富裕層の資産を管理するファロ・キャピタルのポートフォリオマネジャー、ハムザ・アユブ氏は警鐘を鳴らす。

  「ベーシス取引に参加するヘッジファンドが多ければ多いほど恐らく」、米国債市場における「流動性とシステムへのより大きなリスクを意味するだろう」と同氏は付け加えた。

原題: Notorious Hedge Fund Trade Puts Bond Bulls on Steepening Watch(抜粋)

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