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Saturday, August 19, 2023

高いLPガス料金 消費者へしわ寄せ許すな - 中国新聞デジタル

 政府がようやく、LPガスの価格適正化に乗り出した。

 都市ガスに比べて高値で、とりわけ賃貸住宅で暮らす人たちの不満が強かった。

 燃料費も高騰しているが、高値の主因はガス事業者や家主、不動産業者が絡んだ賃貸業界のあしき商慣習にある。賃貸住宅に設置されているエアコンや給湯器の設置費用までもがガス料金に上乗せされてきたとは納得できない。こうした仕組みは不当であり、改めるのは当然だ。

 経済産業省は、ガス供給と関係のない設備費用を料金に上乗せすることを禁止する。見直しにより、料金が月数千円程度安くなると期待されるという。取り組み自体は評価できるものといえる。

 ただ、新制度の施行が2027年度というのは、のんびり過ぎる。政府は省令改正などの作業を急ぎ、見直しを可能な限り前倒ししてもらいたい。もとより、業界自体がそれに先んじて自発的に適正化を進めたらどうか。

 経産省の調査では、家主や不動産業者の要求に応じてエアコンなどの費用を「負担したことがある」と答えたガス事業者が全国で6割を超す。中国地方でも岡山県は81%、広島県が70%と高く、費用負担が当たり前になっている現状には驚くばかりだ。

 家主や不動産業者だけでなく、ガス事業者も沈黙を続けてきたのはなぜか。

 営業努力でガス供給以外の費用を捻出してきたからではなく、こっそり料金に上乗せしてきたからだろう。

 LPガスは全国の家庭のほぼ4割を占める市場なのに料金に関する規制がなく、事業者が自由に価格を決められる。そこが利用された。あしき商慣習のツケを消費者に押しつける仕組みは一刻も早く、見直されるべきだ。

 見直し案によると、メーター設置や点検、検針費用などの固定費を「基本料金」、ガス使用量に応じる費用を「従量料金」、配管やガス器具などを「設備料金」と位置付けて算定根拠を明確化する。

 その上で、エアコンなどガス供給に関係のない設備の費用計上を禁止する。違反した場合は、事業者の登録取り消しや30万円以下の罰金制度も設ける。入居者への料金制度などの周知も図らせる。

 ただ、不動産業者とガス事業者が事実上同一の企業もある。建築時に恒久的な貯留タンクなどを設け、実際には競争原理が働かないようになっている物件も少なくない。

 料金を示されても、同じ地域内で比較ができないのであれば、消費者は適正かどうかの判断ができない。基本料金に含まれる設備点検や検針の費用も、結局は事業者の言い値になる可能性がある。

 料金適正化は、消費者団体などからこれまでも何度も求められてきた。それが実現できなかったのは、政府の指導力不足に加え、ルールを順守してこなかった業界の体質に責任がある。

 LPガス料金による消費者への不当なしわ寄せはもはや許されない。政府やガス事業者だけでなく、家主や不動産会社も考えを改める時だ。

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