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Wednesday, August 16, 2023

パーパスを重視する企業は、競合他社より高い株式リターンを得られる 連載『PURPOSE+PROFIT パーパス+利益の ... - DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

パーパスを重視する企業は、競合他社より高い株式リターンを得られる

iStock/scyther5

サマリー:企業の社会貢献がコストと見なされる時代から、評価される時代へ。ハーバード・ビジネス・スクールで最も若くしてテニュア(終身在職権)を得た教授の一人であり、「インパクト加重会計」の旗振り役にしてESG(環境... もっと見る、社会、ガバナンス)界の権威、ジョージ・セラフェイム氏の最新刊『PURPOSE+PROFIT パーパス+利益のマネジメント』(ダイヤモンド社、2023年)から一部を抜粋し、編集を加えてお届けする。第2回は、セラフェイム氏が「パーパスと利益の両立」というテーマを研究するにあたり、周囲から受けた反発や抵抗をどのように乗り越え、パーパス主導型企業が高い株式リターンを得るという事実を明らかにしたか、そのプロセスを紹介する。 閉じる

学界・実業界からの猛烈な反発と抵抗

──前回の記事:なぜESG界の権威ジョージ・セラフェイムは、企業の社会善に注目したのか(連載第1回)

 企業の善行が業績向上につながるような社会にするには、例えばどのような条件が必要なのだろうか──。

 詳しくは、『PURPOSE+PROFIT パーパス+利益のマネジメント』の本論で述べていくが、この仕事は手強かった。この仕事に真剣に取り組んでいることを他人に納得してもらうのは、もっと手強かった。この仕事をもとに書き上げた論文を一流の学術誌に掲載してもらうのに5年かかった。学界がこうしたテーマをいかに軽視しているかを知って私はショックを受けた。

 私は資料の精読と実地調査から、こうしたテーマがビジネスに関わる多くの人にとってますます重要になってきていると確信していた。CEO(最高経営責任者)や投資家、従業員、そして、自分がひいきにする企業についてもっと知りたいと願う消費者にとっても──。それなのに、環境問題や社会問題は企業に関わりのある大事なテーマかもしれない、という考え方に対し、ものすごい反発や抵抗を受けたのである。

 実業界でも、多くの人がこうしたテーマを〝実体がなくフワフワした問題〟と受け止め、真面目に考えるべきテーマではないと見なした。2011年、私は主立った大手機関投資家の上級投資担当者100人ほどを相手に、自分の研究について話す機会があったが、事後に聞いた参加者の感想はみな同じで、「このようなテーマは自分に関係ない」というものだった。私の披露したデータを詳しく理解したいとか、この研究の先行きを知りたいとか、興味を抱いて質問してくる人は皆無だった。

 当時の私はテニュア(終身在職権)を得たいと願う大学教員だったので、自分が極めて危ない橋を渡っていると感じていた。なにしろ、この分野は誕生前夜であり、研究論文を学術誌に掲載してもらうのは非常にハードルが高かったからだ。何人かの友人は、私のためを思って助言してくれた。学界での将来と今の仕事を失わないために、「そのテーマはあきらめろ」と。

 だが私はあきらめたくなかった。それまでに行ってきた企業・投資家・政策立案者の行動分析と調査により、1つの仮説に到達していたからだ。気候変動、ダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包摂)、商品・サービスの手に入れやすさ、安全性と品質、職場の機会平等──これらに代表される問題は、社会にとって重要であるだけでなく、企業にとっても決定的に重要である、という仮説だ。それを人々に理解させ、この考え方を「フワフワして実体がない」などと簡単に切り捨てられないようにするには、客観的データを繰り返し(そしてたゆみなく)探り出しては分析していく必要がある、とわかっていた。

 私は自分のなすべきことに邁進した。それは、企業行動の仕組みを深く理解するために必要な指標と定量的な基盤をつくり上げ、企業の社会への影響の与え方を変えられるよう、彼らが必要とするエビデンスを提供するという仕事だ。同僚とデータ生成を始めると、私の直感が正しかったことが示された。環境問題や社会問題は本当に企業の価値評価や収益性、資本効率などを左右するようになりつつあったのだ。多くの企業、多くの業界、多くの国においてその傾向が見られた。1つの新しい分野が、これら環境・社会・ガバナンス(ESG)問題を中心に形成されつつあり、私が一緒に仕事をしてきた世界中の起業家や専門家、投資家たちからものすごい量のエネルギーが生まれていた。

 企業が環境と社会に貢献できるような状況をつくり上げるため、私も積極的に役割を果たしていけるし、そうすべきだ─私はますます確信を深めた。そして、「こうした取り組みに意味はあるのか?」と問いかけるよりも、「こうした問題が最大限の意味を持つようにするには、何が起きればいいのか?」という問題設定のほうがふさわしいと気づいた。問題設定を根本的に変えたことで私の視点も大きく変わり、前向きで意義深い方向へと世界を進めるために、学者・教育者・実践者としての自分の立場を利用することを許せるようになった。

 それ以来、私と仕事仲間はこうした問題に対する人々の考え方を抜本的に変えようと、先頭に立って尽力してきた。過去10年の我々の学術論文を見ていただければわかる通り、ESGの必須項目で実績値を改善してきたパーパス主導型の企業は、競合他社より年3%以上も高い株式リターンを毎年達成している。

 一例に過ぎないが、例えば新型コロナウイルス感染症の大流行時に確固たる取り組みで対応し、顧客・社員・サプライヤーを守ってきた企業は、2020年3月の株式市場大暴落を含む1カ月間だけで、競合他社を2%上回る株式リターンを達成した。強い印象を与えるデータではあるが、こうしたデータだけが人々の考え方を変えた(そして今も変え続けている)わけではないと知ることも大切だ。社会の大きな変化によって「パーパス」と「利益」の対立が急浮上したこともまた、人々の考え方を変えた一因なのだ。

『PURPOSE+PROFIT パーパス+利益のマネジメント』

[著者]ジョージ・セラフェイム 著 [訳者]倉田幸信
[内容紹介]
企業の善行と利益は両立する--企業がよいインパクトを社会に与えるための戦術的方法や、こうした社会的変化によって可能になった価値創造の6つの原型、これからの投資家の役割など、ロードマップとベストプラクティスを提示。ESG投資の世界的権威、ハーバード・ビジネス・スクール教授が示す未来への道。

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