[ワシントン 26日 ロイター Breakingviews] - 米商務省が26日発表した第3・四半期国内総生産(GDP)速報値は、前期比年率4.9%増となった。これは祝福に値するが、喜びはそう長く続かない。
物価上昇と税の調整後の家計所得は第3・四半期に710億ドル減少したことが、パンテオン・マクロエコノミクスのデータで分かる。貯蓄額も1兆ドルから7770億ドルに減っており、このペースなら来年6月には貯蓄が払底する。
企業の支出も勢いが弱まろうとしている。今回住宅建設が異例の増加を見せなければ、企業投資は全体でマイナスになっていた。ただレッドフィンによると住宅ローン金利上昇により、毎月の返済負担は1年前よりも471ドルも多くなっている。それが住宅購入需要に水を差して、せっかく成長を押し上げてくれた住宅建設が打撃を受けることになる。
また企業は、今年前半に借り入れコスト増大を避けるため、建物や機械設備などの固定資本に総額790億ドルを投じた。この投資額も第3・四半期に縮小し、金利高止まり懸念がより大きくなっていると企業の担当者が警鐘を鳴らす中で、今後見込まれる投資はさらに少なくなっている。
LSEGのエコノミスト調査では、第4・四半期の米成長率は0.9%と予想されている。しかし第3・四半期には810億ドル相当の過剰在庫が生み出されただけに、しばらく新規の在庫投資は見送られる公算が大きく、それだけで成長率は1.5ポイント下押しされる可能性が出てくる。第3・四半期に上振れた成長が、逆に落ち込みへと転じてしまうのは間違いない。
●背景となるニュース
*米商務省が26日発表した2023年第3・四半期の実質国内総生産(GDP)速報値は年率換算で前期比4.9%増と、21年第4・四半期以来約2年ぶりの高い伸びとなった。景気後退懸念にもかかわらず、底堅い労働市場を背景に堅調な個人消費が主導し、市場予想の4.3%増も上回った。 もっと見る
(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
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コラム:米成長率、第3四半期の高い伸びが続かない理由 - ロイター (Reuters Japan)
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